エコーからみた胆嚢ポリープについて

                   村上記念病院 画像診断センター 加茂 瑞穂

 

胆嚢ポリープとは、1.粘膜にできる腫瘍の1つ、2.形状はキノコのような形をしている、3.症状は無症状、4.40歳代から増えていく、5.男女差はなしという特長があります。ここで、粘膜にできる腫瘍の1つという意味は、悪性腫瘍である胆嚢癌も含まれている可能性があるからです。そして、胆嚢ポリープも大きさが1cmを超えるとよりガン化する可能性が高まります。

悪性率は、1cm以下:6%、1~1.5cm24%1.5~2cm60%2cm以上:80%が癌であるという調査結果が出ています。そして、胆嚢ポリープのほとんどが良性のコレステロールポリープです。コレステロールポリープは原則的に経過観察ですが、癌との鑑別が困難なものでは手術が勧められています。

胆嚢良性腫瘍は、腺腫・過形成ポリープ・炎症性ポリープ・コレステロールポリープ・胆嚢腺筋症の5つの種類があります。これらの、罹患率の割合は、コレステロールポリープ:55%、胆嚢腺筋症:13%、良性腫瘍と早期がん:11%、過形成ポリープ:7%、炎症性ポリープ:3%です。

特徴は、腺腫と過形成ポリープは共に、胆嚢壁との輝度は同等〜低く、内部は均一です。形状は円形・楕円形、大きさは10o以下が多いようです。この2つは画像による癌との鑑別は困難です。炎症性ポリープは胆嚢壁との輝度は高く、内部は不均一、形状は不均一、大きさについては明らかになっていません。炎症性ポリープは超音波像に関する知見が少なく、今後の課題とされています。コレステロールポリープは輝度が高く、内部はやや不均一、形状は桑実状、金平糖状、大きさは10o以下です。胆嚢腺筋症の特徴は、壁肥厚、壁在結石、壁内のう胞等があります。そして、限局型、分節型、びまん型に分かれます。限局型は胆嚢底部にこれらの所見が限局する場合。分節型は頚部や体部、あるいは両部位にまたがって存在する場合。びまん型は全周性に存在する場合です。この2つの疾患(コレステロールポリープ・胆嚢腺筋症)は、これらの特徴的エコー像により超音波での鑑別が可能です。

 

 症例です。

61歳 女性 透析患者さんです。主訴は右下腹部痛で超音波検査の依頼を受けた患者さんです。血液データは、AST7ALT7r-GTP8T-Bil0.27ALB3.9と正常範囲内です。        

超音波画像です。

胆嚢体部に一番大きいので1.1cm、他にも数個のポリープを認めました。輝度は高エコー・内部はやや不均一な隆起性病変です。胆嚢壁軽度肥厚しています。

エコー所見は、胆嚢内部に径11mm7mm大の高エコー(+)他にも数o大の高エコー散在。体位変換による可動性は(−)です。インプレッション 胆嚢ポリープ疑い。大きさが1.1cmと大きいため他のモダリティで精査になりました。

CT画像です。

  

CT画像では胆嚢に明らかな病変は(−)です。Sin sliceの画像で見ても明らかな病変は(−)と思われます。

CT所見は、明らかな壁肥厚(−) 胆石・ポリープは(−)です。インプレッション 異常なし。

次に、EUS画像です。

腹部超音波に比べてより近くで臓器を観察できるため、内部の状態がより鮮明にわかります。EUSでもやはり胆嚢内部に、輝度は高エコー、内部はやや不均一、形状は桑実状の隆起性病変が観察されました。

EUS所見は、胆嚢内部に長径1.1cmを最大とする3個のポリープ(+) 山田4型、桑実様であり、コレステロールポリープと思われる。胆嚢壁やや肥厚。US診断は、コレステロールポリープ 質的診断は、胆嚢壁が肥厚していることから胆嚢炎疑いです。

山田分類とは、

1型:隆起の始まるところがなだらかで、境界線がない

2型:隆起の始まるところがはっきりわかる境界線はあるが、くびれはなし

3型:隆起の始まるところがはっきりわかりくびれがある。ただし、茎はない

4型:キノコの形のように茎がある

以上の4型に分類されます。

最後に、胆嚢ポリープは1cm超えたら悪性腫瘍を合併する可能性が高まるので、早期に発見することが大切です。胆嚢ポリープはCTMRIよりも、侵襲性・分解能及びリアルタイム性に優れた超音波での検査が最も有用性が高いと思われます。