放射線技師情報交換会
7年間の歩みを振り返って

 

〜技師として何がどう変わったのか?

放射線技師情報交換会 代表幹事 竹内廣光 

会設立の経緯

2000年69発足、十勝管内の4名以下の施設技師を対象。

発足時『個人病院間の交流・情報交換会』の名称後に『小規模施設技師の会』に変更、その後現在の『放射線技師情報交換会』に変更。

目的 :

@    現場で直ぐに役立つ情報や親睦等 

A    小規模施設だとわからないことや悩みなどで行き詰まった時に相談する相手が近くにいないことになりがちなため、他施設に相談相手を作る 

B    問題点を解決できればと思い技師同士が情報交換できる場を設け、また技師会にも参加しやすい雰囲気を作る

C    新人技師を採用さて困ったあまり人に教えた事が無い教えるのが下手、それなら会を作ってそこで学んでもらおうと・・・・

 

 

各施設の現状

 

1人勤務の場合

      いろんなことを直ぐ妥協してしまう傾向あり、技術の向上・進歩が望めない。

      相談相手がいないが、Drとの密な関係を築きやすい。

      技師が固定している事により、患者さんとの信頼関係ができ、コミュニケーションを築きやすく安心感を与える。

      仕事上の疑問点等があった場合、この会で横の交流を深める事により、お互い相談しやすくなるのでは。

      専門外の撮影の依頼がきても、対応できるスキルをつける。

複数勤務の場合

      技術の底上げに努力し、誰が撮影しても同一な結果が得られるよう、教育を行う。

      撮影方法・画像診断等で問題等が起きたら、とことん協議・討論する。

      専門外の画像のことでDrに聞かれても、答えられるだけの知識は身に付けるべき。

      X−Pのシールに撮影者の印を押し、撮った写真に責任を持たす。

 

これより実際当会で行ってきた事柄の まとめ と致しまして、7年間取り組んできた事をお知らせいたします。

 

 

 

1.

 

 

インフォームド・コンセント(医療従事者側からの十分な説明と,患者側の理解,納得,同意,選択)

:1950年代に米国において、医療紛争を解決するため裁判上の一つの方法として発生したそうで1970年代に入って、患者の基本的権利を守るという意味で理解されるようになったそうです。

何処の施設で検査をしても、変わらない対応ができることが、当会の目指すところ

@    検査・治療に訪れた患者に医師のオーダ内容を伺い、医師の指示内容との一致や違いを確認する

A    これから行う検査・治療の方法などを説明し、不安や疑問がないかを尋ねる

B    相手の理解度に合わせて説明の仕方を工夫する

C    相手が話しやすい雰囲気作りに心掛け、プライバシーに配慮する

D    検査・治療などに関する説明や、放射線検査の安全性などに関する情報は、説明用パンフレットやパネルなどを活用して提供方法を工夫する

 

各施設どの様にインフォームド・コンセントを実施しているのか?

      まずは挨拶をし、フルネームで患者さんをお呼びし、撮影部位等の説明を行い、本人にも確認

      スムーズな検査を行うにあたり、患者さんの協力は不可欠なので、どのようにリラックスさせて行うか・・・

      撮影後から診察まで時間がかかるので、会話などで十分時間をかけている。

      細かいことでも患者さんからの情報を得るために、患者さん本意の検査にする。

 

2.各施設のリスクマネジメントの調査(平成14年実施)

 

現在医療スタッフには高度な知識と技量はもとより、医の倫理に基づいたまごころ医療が求められ、医療サービスの一環としてリスクマネジメントへの意識を強くもっていくことが大切ということで、各施設の放射線部門でのリスクマネジメントの調査を行いました。

 

インシデント(人為的要因) 図@             転倒・転落等の防止方法の工夫 図A

図@:

インシデントの発生要因についての調査で人為的要因は、確認不足が33件と一番多く、その他格差はなくこのような順になっております。 大多数がケアレスミスを占めており予防可能かと思われます。

尚、勤務状況は多忙時が多く、心理状態では寝不足・2日酔い・体調不良時が多くなっております。

図A:

転倒・転落の防止方法の工夫ですが、十分な監視・観察をし、不可能なら介助をつける。 リスクに対する説明も行う。

施設独事の工夫では、段差に滑り止めのテープを貼る等、支持棒などの利用をされておられる施設もありました。 


受 付 図B                一般撮影 図C

 

 

図B:

受付でのリスクは、患者さん間違いが4割ちかく見受けられます。 インフォームド・コンセント例えばフルネームで呼ぶ等の必要性が感じられ、案内不足も同様です。

近年のCRの普及と同時に、入力ミスが3番目に多い傾向にあります。

図C:

一般撮影は撮影ミスが半分を占め、この中にはポジショニング・条件・部位間違え・左右間違えなどが含まれており、障害陰影混入も一割を占めています。

 


CT検査 図D       MRI検査 図E

図D:

CTは、名前・ID番号・患者さん情報等の入力ミスが多く、検査部位のミス・患者さん間違い・操作ミス等が目立ちました。また、装置のエラー、リコンのデータ消失も見受けられた。  

その他として、妊娠確認の不備・転倒・検査中の心停止等も含まれています。

図E:

MRIは名前等の入力ミスが一番多く、患者さん間違い磁性体持込が次に多くなっております。 このミスに関しては具体的な物品名を言っての確認が予防だそうです。

 

 


ポータブル 図F             造影検査 図G

図F:

ポータブル撮影ですが、これも撮影ミスが65パーセントも占めています。 内訳としては、体動が多く、条件ミス等もあります。

また、人・物への衝突が特徴的で、この二つを併せて28%となっております。

図G:

造影検査には、CTMRIもふくまれています。ここでは造影剤漏れが1番多く針確保ミスなども含まれます。

次に多いのは,透視台による指はさめです。 これはメーカー各社に装置の改良を望みます。

次は副作用でその中にはヨードアレルギー・吐き気・めまい・血圧低下によるふらつき等がありました。

その他には,接触・落下・圧迫による骨折等がありました。

 

 

【リスクマネジメントのまとめ】

    モダリティ別リスク事例の多かったのは、一般撮影であった。

    確認・観察不足が多くの人為的ミスを引き起こしている。

    ヒヤリ・ハット時の対応は、まずは容態確認と謝罪をすることであった。

    リスクマネージャーの配置及び、予防の為の研修・院内教育の実施は半数の施設でしか行なわれていなかった。

    事故予防には、インフォームド・コンセントの重要性が再認識された。

 

 

 

ヤリハット時の対応は、まずは容態確認と謝罪をすることであった。

リスクマネージャーの配置及び予防の為の研修・院内教育の実施は半数の施設でしか行なわれていなかった。

事故予防には、インフォームド・コンセントの重要性が再認識された。

 

事故防事故防止に於いて最も大切な事】

 

• 確認・観察         17件

• 集中力・注意力        5件

• 思い込みを捨てること     4件

• 患者さんの理解を得る     3件

• 医療事故の共有化       2件

• その他           13件

 

事故防止で

最も大切なこととしてですが、確認・観察が17件となっております。

ヒヤリ・ハット事例@

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    転倒(やはり転倒事例が多い)

    立てなくても立ちたがる。 本来なら介助付ける。 技師はわりとマニュアル通りする傾向あり、リスクを犯してまで・・・

    Drとのコミュニケーションが必要

(無理して立位にする必要があるのか・・・? 何の情報がほしいのか・・・?を確認)

    問診をしてから撮影(患者さんが言ってくれなかったでなく、こちらがどうして確認しなかったかで患者情報を得る)

    つかまる所を作成や撮影法の工夫

    患者さんの状態把握(顔色など見て貧血状態だったら介助つける)

    MRIでペースメーカーの装着が終わってからカルテに書いてあった → 自分の目で胸を確認が必要だった

    妊娠 → 前情報を鵜呑みにしない。自分で確認

    胸部撮影で下着を着けたまま → 具体的に名前を言って(ネックレス・ブラジャー・エレキバン金具のついた下着など)

    思い込みが問題 → 伝わった → 100%なんか伝わらない。嘘をつくこともあり、不安がっている。

    注腸Baで回盲部圧迫による肋骨骨折 → おかしいと思ったらDrに連絡し対応の確認。本人からの家族からの話は歪む恐れがあるので、家族を呼んで説明、誠意を持って対応。病院としての対応をまとめる。

    それぞれの施設で何らかの経験はされています。日頃忙しい中での検査で、ちょっとした気の緩み・油断・思い込み・確認不足・連携不足等で起きています。これらは、けしてゼロにはなりませんが、患者さんは病んできています、そのような患者さんにどうか安全で・安心できる検査を心掛けてください。

    撮影が終わってそれで良しとしないで、病院を出るまで技師の責任でという気持ちが必要では・・・

対策の成果が上がらない本当の理由は本気にならないから、本気になれば真剣に考えるはず、やるという意志が必要、決意表明が必要、工夫が必要、工夫とは現実に合わせること。

 

3.何がどう変わったのか?

初めは他施設との交流を主としていたが、皆が学ぶ場をと考え、十勝の全施設への呼びかけを行い、全国からの著名な技師をお呼びしての講演会形式に方向変換を行なう。

何でも話せるような雰囲気(気取ったり・えらぶったりしない)になった。

他院の技師との交流(助人等)が活発になった。

明日から現場で役立つことを与える。

その後これでは初めの趣旨と違うのでないか・・・と言う疑問が出てきて初心に帰り昨年より方向変換いたし討論形式に致しました。

目の輝きが変わった。

会の名称のように、情報の交換が活発になった。

発足当時は技師同士名前も分からない人も数名いました。技師会等で会っても挨拶すらしないことがあった。

学ぶことの機会が少ない地域性を考慮して学ぶ場を提供した。

このような会を必要としていた。

 

 

 

 

 

 

 

4.技師としてのコスト意識

 

費用対効果を認識。もし貴方が経営者・管理者とした場合、貴方を雇用するか?(雇用される能力)

『わかる』から『できる』への変換。

   *過去のことに捕らわれない

   *他人のせいにしない 

   *出来ないとは言わない

施設の活性化及びセクションの問題解決

 

医療従事者の標準数

【規則:19@七】

診療放射線技師、臨床検査技師、事務員、その他の定員は 

   ⇒病院の実情に応じた適当数

       ⇒基準がない基準が曖昧

昭和23年の法律(約60年前の法律)

 

 

 

 

これからの診療放射線技師に求められていること

 

優れた画像を提供し、撮った画像には責任を持つ

技師として一番大切なことは、目の前にいる患者さんへの対応。『あなたに検査してもらってよかった』と思ってもらえる人になろう。

技師は患者さんに育てられている。

伸びしろを成長させる

 

診療放射線技師の可能性

スキルと同時に、患者さんとの交流を技師冥利”と感じることができる心豊かな技師となってもらいたい。

大勢の人の前で自分の意見をきちんと述べ、伝えるという経験を積めば、自ずと専門分野が深まります。と同時に、院外の人たちとのネットワークが広がります。そうして自分の仕事に対する自信が培われた結果、どんな患者さんと接しても、臆することなく真摯にコミュニケーションが図れるようになる。

 

これからの診療放射線技師に求められていることは・・

自分の業務外のことにアクションを起こしてみてもいいのでは。(病院のシステムによって)

派遣になる可能性も・・・・現実的には切羽詰った状態です。われわれの職業的地位が危ぶまれていることに気づいている技師は案外少ないのか・・・

何より大切な事は、自分の情熱や夢を持ち続けること、夢を持ち続ければ大抵のことは叶うはず、ぜひ夢と情熱を持ち続け精進してください。

 

結局やりたい気持ちが何より大事、自分の夢や目標の形を思い描ければ実現しないことはないのでは・・・鮮明に描ければ、後は行動のみ。

 

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