診療放射線技師が“骨折を画像読影しレポーティングする”ために

(医)社団久和会立花病院 放射線科科長 矢野雅昭

 

 骨折の単純X線撮影による評価は画像診断の基本であり、診療放射線技師として画像読影することは自身の撮影技術の向上に寄与することに繋がるとともに画像診断に有益な新しい撮影法撮影技術を見つけ出すことも可能となる。骨折治療は急性期に適切に診断治療されることがもっとも理想とされる。画像診断がもっとも容易なのも骨折であるがもっとも難しいのが同じ骨折であることを肝に銘じておくことも大切である。

診療放射線技師が撮影現場において撮影し画像読影をした後に所見をレポートするために必要とされる知識を挙げてみたい。

1:骨折の分類と特殊な骨折について図1〜4に示す。

   

 

 

骨折画像を読影する基本重要事項は@管状骨の形に変化は無いかA骨皮質に断裂段差は無いかB骨りょうに途切れは無いかが重要となってくる。読影する画像は、これらが正確にチェックできるコントラストおよび濃度で作成されたもので無ければならない。レポートするべき要項を“骨折記述要素”として図5に示す。骨折を読影レポートする要素には、骨折の位置関係について、管状骨においては、「転位、屈曲、伸延短縮、回旋について」記述し、位置は原則として近位側を基準にして遠位側を表現する。長さの測定も画像上で測定する。

 

骨折をレポートする上で必要とされる「記述者の名を冠する骨折」「受傷者の職業名を冠する骨折」と「その他の特殊な名前の骨折」を図6、図7に示す。

  

 小児に特有とされる骨折について、不全骨折と骨端線損傷分類(Salter-Harris分類)について図8〜9に示す。

   

 

最後に、診療放射線技師が画像読影しレポートする時に骨外傷を見逃さないための注意事項を挙げておきたい。

まずは画像所見と臨床症状の十分な相関をつけることが肝要であり、骨折の見逃しを極力避けることができる。

経験からの見逃されやすい骨折例を知っておくことも大切なことである。

急性期骨折診断の最低限の原則を考えてみると、@単純X線撮影で骨折を診断できるA単純X線撮影では骨折を否定することは難しいB単純X線撮影で疑われた骨折は理学所見で否定できることがあるCB項には多発外傷や薬物アルコールの影響下においての例外が存在する。である。

診療放射線技師が急性骨外傷を画像読影しレポートすることに対しての私見を述べた。

患者さんに有益な画像を作成し、第一次読影を積極的にしていくためには、診療放射線技師個々の撮影技術を上げていくよう、これからますます精進することを願うものである。