[肩関節疾患の画像読影と撮影技術]  信原病院 森岡重敏

\\psf\Home\Desktop\新しいフォルダー\図1.jpg\\psf\Home\Desktop\新しいフォルダー\図2.jpg

腕は約180度まで上げられますが、実際に肩甲上腕関節で上げられる 角度は約120度です。

あとは肩甲骨であげるのですが この肩甲骨と胸郭との接続面を肩甲胸郭関節と言います。

肩甲上腕関節と肩甲胸郭関節の動きは密接に関連しており、 腕を上げる動作の約2/3を肩甲上腕関節で、

約1/3を肩甲胸郭関節で行っていると言われています。腕を90度あげたときには、上腕骨は肩甲骨に対して60度しか上がっておらず、残りの30度は肩甲骨そのものが傾いて、 見かけ上90度上がっているように

見えます。 この2:1の割合が肩の挙上運動で保たれている事が、肩のスムーズな 動きに重要であるとされています。

ゼロポジションの撮影方法ですが、 立位・仰臥位でもいいですが前額面より、30度前方方向にて

約150度挙上します! 文献により、130度〜155度までの報告があります

レントゲン上では、肩甲棘が臼蓋の中央を通る写真です肩甲棘と上腕骨軸が一致したところです。

\\psf\Home\Desktop\新しいフォルダー\図4.jpg\\psf\Home\Desktop\新しいフォルダー\図3.jpg

当院の撮影方法は、 ルーチンでは、内旋/外旋/挙上位撮影です。 入射角度は垂直です!

追加で、Yビュー並びに軸射撮影をおこないます。 内外旋にて、骨頭の形状を把握できるため 骨欠損がある場合や石灰沈着性腱板炎などの病態も 把握できます。 挙上位撮影については、 あまり行われていないですが、 臨床上においてバイオメカニクス的には 確実な動態を得るため臼蓋と骨頭の関係が不可欠です。

軸射撮影については、60度外転撮影方法というのがありますが、投球障害などにおける疾患には

生体力学的には90度挙上位でのセカンドポジションにて 前後の適合性を診る必要があります。

臼蓋と骨頭間の接触面ならびに接触面積に関係しますが、 60度までは、上腕骨頭と臼蓋の接触面は前後では

変化しませんが、60度を超えると後方に変移します。

投球動作における、前後を位置関係を把握するにはこの肢位で、内旋位で撮影します!

 

腱板疎部(RI:ローテータ・インターバル)は、 棘上筋と肩甲下筋の間に存在する隙間(関節包)であるが、

腱板が自由に収縮・伸展・回転するための遊びの部分であり、 筋のつなぎ目であるので痛めやすい部位

\\psf\Home\Desktop\新しいフォルダー\図5.jpg\\psf\Home\Desktop\新しいフォルダー\図6.jpg\\psf\Home\Desktop\新しいフォルダー\図7.jpg

腱板疎部は、投球時の加速期の初期に骨頭の 前方移動で強いストレスを繰り返し受ける部位です。

MER肢位で発生しますが、当部の損傷は無理あるいは過度の投球動作によって発症します。

 

腱板疎部損傷(ローテータ・インターバル・リージョン)

当院の信原院長が提唱された疾患概念でありますが、 肩甲下滑液包が閉じており、関節内圧を調整できないときに 腱板疎部の部分に痛みの症状が出現します。

棘上筋腱と肩甲下筋腱の走行および作用の違いを機能的に 緩衝して、上肢の挙上・回旋運動を円滑にする役目に関与します。30歳未満が71%を占め、若年男女アスリートに好発している 。

臨床上、腱板疎部損傷を肩の捻挫あるいは軟部組織損傷として取り扱ってもまったく問題はない。

その多くが休養と保存的加療で治癒するからである。

あらゆる保存的治療が無効で、受傷後3カ月たっても症状が続くものに手術的修復の方法が勧められる。