「放射線技師は、これからどうあるべきか」
岐阜医療科学大学教授 市川 秀男
現在より、より一層良い理想的な放射線技師とは、一体どのような技師を言うのであろうか、それには、常にプロ意識を持ち、新しい知識やより高度な技術を獲得し、進化していく事が求められると考える。
最近、医療界は、オーダリング、画像のデジタル化、フイルムレス化、電子カルテ等のIT化され、最新鋭高度医療機器の開発、普及し、病院には革命的近代化の高波が押し寄せて、放射線技師への役割と責任が一層求められている。
T)技師の役割は、操縦桿を握り締め、1億の民の診断、治療に役立つ撮影・検査をしている。その適切な検査をするには、全国各地の自慢の「ラーメン」や「味噌汁」の隠し味のように、技師はプロ意識を持ち、検査目的にあった撮影法(現代版撮影法;読影から見た撮影法)を工夫し、日々反省し追求することが必要と考える。
また、医療チームの一員として、患者さんに何ができるのか考え日頃から実行してもらいたいものである。
U)技師の責任については、自分のした仕事(撮影・検査)は、自ら責任を取る必要がある。医療画像(フイルム等)は裁判で言う大事な“物的証拠”であり、有罪・無罪を決定する大切なものである。
V)検査目的に合った良い画像を得るには、
1)日頃から医学知識を高め、人体解剖、生理、病態学カルテ読み(主訴、検査データ)等を
習得する
2)医師の目線で物事を考えられるようにする。
3)撮影・検査の前に、カルテを読んだり、直接患者に聞いて、検査目的を把握して検査目的にそれぞれ合わせて適切に検査をする。(検査する前に、検査結果を予測する。)
4)RT−レポート(放射線技師の報告書)を作成し、患者の検査結果を記録・保存する。
(医師の希望があれば配布する。)
5)反省として、他のモダリテーの報告や手術、病理、臨床経過等の結果を確認する。
(患者さんは、最大の教科書である。)
W)画像読影のこだわり(RT―report:放射線技師の報告書)
これには、自分が何の為に撮影・検査するのか、得られた画像から何が分かるのか、知らなければ、診断、治療に役立つ適切な撮影・検査はできない。逆に、画像読影を知ったことで撮影に、やりがえを見つけた技師の話を聞くことがある。
(画像読影は、これからの技師のたどる道である。)
X)画像(写真)から苦痛や叫びが理解できる技師。
(写真を良く見ていると、泣いている、訴えていることが良く分かります。)
Y)医療に役立つ熱血放射線技師を育てたい。
[天職として悦んで人の命を救う仕事をする技師]
Z)将来の放射線技師の仕事(具体的な例)について。
(専門技師として、新しく獲得する業務)
1)放射線医療機器は、診療放射線技師の許可なしに使用してはいけない。
2)診療放射線技師は、静脈確保し造影検査を行うことができる。また、患者の救命救急に際し、気管挿管等の処置ができる。
3)全ての画像検査ができる。(内視鏡検査等)
4)医師の監督下で、血管造影等のカテーテルを挿入し、検査ができる。
5)診療放射線技師は、一次読影ができる。
6)検査・撮影で開業ができる。
(以上)