最近のレーザー治療について

 

特定非営利活動法人 日本臨床医療レーザー協会    理事長 菊山 賢 

 

 

1:はじめに

アインシュタイン博士により予言され、メイマン博士により証明されたLASER(ight mplfication by timuleted mission of adiation)という物理現象により発生するレーザー光は、組織に吸収(ごく一部が拡散による)される事により、熱や衝撃波のエネルギーに変換され組織に影響を与える事が出来る。レーザー光には単一波長という特徴があり、組織への吸収特性は波長によって決定され、又、吸収された光のエネルギー量に変換されたエネルギー量は比例する為、レーザー光は組織に対し、再現性を持って影響を与える事が可能となっている。具体的には吸収されたエネルギーが高い順に、蒸散(気化)炭化、凝固、蛋白変性、疼痛物質の変化が同時に起こるのである。

  

 

2:レーザー光による臨床応用

レーザー光による臨床応用は、レーザーの種類(波長)による種々の特徴である

    選択的吸収(あざ治療での肌色には影響を与えずにあざの色のみを気化させるような治療)

    蒸散と凝固が同時に調整可能な範囲で起こせる事(レーザーメスは細かな切開が可能であると同時に強い止血効果を持っている)

    強い衝撃波を発生させる事が可能な事(砕石や歯の切削が可能)

    小さな経路で導光可能な事(400ミクロン程度の直径の穴から導光可能なので内視鏡治療が可能)

    創傷治癒や疼痛緩和に効果が高い。

といった特性を利用して用いられている。

  

    

現在国内で通常行われている治療を保険適用されているものと非適用のものの一覧を示します。この中でも特に椎間板ヘルニアに対する治療について、治療の概略を述べていきます。

3:椎間板ヘルニア

椎間板とはいわいる背骨の間にあり、クッションの役割を行っている組織であるが、過度の負荷がかかったりすると椎間板の中身である髄核という物質が椎間板外側の繊維輪という組織を圧迫,重度になると繊維輪を破って飛び出し、神経根という神経の末端を圧迫する事により痛みやしびれが発生する疾患であり、通常は症状発生後3ヵ月程度は安静や湿布を中心とした保存療法を行い,効果が充分でない場合に切開手術を検討する、しかし保存療法と切開手術の負担があまりにかけ離れており、又、切開手術に対する不安からだましだまし日常生活を送る人が多くなっている。レーザーでは局所麻酔下に18ゲージ(腰椎の場合、頚椎の場合は21ゲージ)の針を経皮的にX線透視下にて穿刺し、経針的にレーザー光を導光し、髄核を少し蒸散、凝固することで体積を減らし、神経根にかかっている圧力を減らす事により痛みやしびれといった症状を改善する事が可能となっている。この方法は経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)と呼ばれ既に国内でも4万例以上の治療が行われている。しかし残念ながら全ての椎間板ヘルニアに対し有効ではなく、MRI診断を中心とした専門医の診断が不可欠である。レーザー治療では日帰り可能、副作用が少ない、といった利点が認められているが、保険が適用されないため40万円程度の費用が必要となる。

   

   

   

   

   

   

   

   

4:終わりに

上記以外にも、いびき、鼻アレルギー、近視、乱視、PDTといわれる選択的光線治療、しわ取りや脂肪融解のような美容目的や心筋梗塞の組織再生といったような、様々なレーザー治療が行われつつあります。動物医療でもほぼ同じ治療が行われています。確かにレーザー装置は医療の中で患者に対し大きな可能性を持っていると思います。しかし装置だけが重要ではなく、取り扱う医師の技術、モラルも装置と同等以上に重要である事は認識しておいて下さい。国民皆平等という戦後の保険システムが崩壊しつつある中で、患者の自己責任をもって医療機関、医師選びこそが重要であると思います。

上記のレーザー治療の詳細及びその他のレーザー治療の情報は当協会のホームページに詳しく記載されています。http://www.mla-jp.com/