チーム医療に貢献できていますか!「整形外科骨画像を読影する」

立花病院 矢野雅昭 

 

 “放射線技師の役割”のその中から、特に一般撮影時の“患者さんに優しい”を考えてみることとする。今回は、整形外科領域の骨撮影においての“患者さんに優しい”を撮影技術と画像読影の両面から考えてみる。

 まず、整形外科領域における骨単純撮影は、基準となる正確な正側2方向が基本となる。質の高い有益な画像、つまりは、正確な基準撮影ができているのかが問われる。また、その撮影法が患者さんにとって優しい撮影法であったかも問われる。患者さんに有益な診療画像が提供されているのかは、撮影する側の放射線技師の技術・能力に委ねられてくる。

“骨撮影、物凄くうまいよね”って言われる診療放射線技師になりたいものである。

 

正確な骨撮影技術を高める為には、基本となる基準撮影法技術の習得が必須であり、その上に1・正常解剖の理解、2・自分が撮影した画像に責任を持つことからの、異常影の指摘、3・患者さんに有益となる価値のある追加撮影などが求められるものと考える。

今回の研修会では、撮影された画像を読影することから異常影を指摘し、患者さんに有益な画像が提供できているかを自己評価することを目的とする。

 

症例1:30歳女性。仕事中ベルトローラーに左5指を挟んだ。画像読影:・・・・・  

所見:槌指マレットフィンガー 分類:剥離骨折型

症例2:15歳女子。最近特に膝関節が痛い。画像読影:・・・・・  

所見:内軟骨腫  分類:良性腫瘍分類

症例3:33歳男性。屋内で転倒し右手指を床に強く突くような形で受傷。画像読影:・・・・・  

所見:第五中手骨基部骨折 *追加回内回外斜位撮影

症例4:28歳男性。祭りで太鼓台を担いでいて右手背を痛めた。画像読影:・・・・・  

所見:手根骨有鉤骨骨折 *追加CT plain&MPR 

症例5:76歳女性。散歩中つまずいて転倒。右手首が痛い。画像読影:・・・・・  

所見:橈骨遠位端骨折 分類:Frykman分類・斉藤分類

 

《症例6:12歳女子。人とぶつかって転倒し右手を強くついた。

肘関節2方向を基準撮影する。正面像にて橈骨頚部に皮質の途切れ、骨りょうの乱れを疑う。橈骨頭頚部が側面像では、尺骨鈎状突起に重なり良く解からない。

橈骨頚部骨折を疑いグリンスパン法にて、橈骨頚部を重なりのない45゜斜入側面像を描出する。

肘関節2方向基準撮影

グリンスパン撮影法

右橈骨頚部45°斜入像

画像読影:グリンスパン45°斜入像より橈骨頚部不全骨折をpoint outする。  

所見:橈骨頚部不全骨折  分類:橈骨頚部骨折 Judet分類 TypeT

 

《症例7:67歳男性。屋根から落下転落し顔面を何かにぶつけた。

テーブル上に自然仰臥位のポジションにて free board補助具を使用して、頬骨弓軸位像を撮影

する。Free boardおよび管球角度は撮影法に従う。

頬骨弓撮影専用補助具使用

画像読影:・・・左頬骨弓に不全骨折を認める  所見:左頬骨弓骨折     

 

《症例8:60歳女性。出勤途中雨で滑って自転車ごと川に転落した。 

撮影・画像読影・・・患者様の様子より、右踵骨骨折を疑う。まず側面像を撮影し、骨折を認め

る。続いてそのままの状態にて、水平X線軸位像を撮影する。次に、九州大学方式変法にて両側

距踵関節を同時に描出する。

踵骨水平X線軸位撮影法

九州大学方式変法

 

 所見:踵骨骨折

    

症例9:64歳女性。発泡スチロールを踏みつけていて転倒し膝を強打した。画像読影:・・・・・ 

所見:脛骨高原部骨折 分類:Hohl分類TypeA *occult fracture

追加MRI画像

症例10:56歳女性。家の廊下でスリッパで滑って転倒し右足首を捻った。画像読影:・・・・・  

所見:右脛骨腓骨両果遠位端骨折  *追加回内回外斜位撮影

症例11:16歳男性。自転車走行中転倒しかけて壁にぶつかり膝を強打した。画像読影:・・・・・ 

所見:膝蓋骨縦骨折  知識:分裂膝蓋骨正常変異

症例12:79歳男性。頚部に強い痛みが続いている。画像読影:・・・・・ 

所見:後縦靱帯骨化症OPLL 分類:OPLL分類  

*追加CT:骨化占拠率測定

症例13:12歳男子。縄跳び中後方へ転倒。その時左手をついた。すごく痛い。画像読影:・・・・・  

所見:torus fracture 分類:小児不全骨折

症例14:12歳男子。バレーボール中床に転んだ時左小指をついた。画像読影:・・・・・ 

所見:小児骨端線損傷S-H T型 分類:S-H分類

症例15:5歳男児。遊びに夢中で押入れから落下転倒。左肘を動かさない。 画像読影:・・・・・ 

所見:上腕骨顆上骨折 分類:  知識:肘fats pat sign

症例16:13歳男子。陸上選手。最近走ってる時左股関節に痛みがある。画像読影:・・・・・  

所見:下前腸骨棘剥離骨折 分類:骨盤骨折分類

症例17:56歳女性。今朝から急に右手のしびれと右下肢の脱力がある。画像読影:・・・・・  

所見:被殻部高血圧性脳内出血 分類:HIH分類 知識:正常脳解剖

症例18:55歳男性。USで肝臓にSOLを指摘される。HCC疑いのCECT.画像読影:・・・・・  

所見:肝細胞癌HCC 知識:肝区域分類

症例19:41歳女性。熱っぽく咳がひどい。画像読影:・・・・  

所見:肺炎 分類:肺がんと肺炎 知識:肺区域分類

 

《症例20:56歳男性。ラパ胆術前DIC-CT中》

画像読影:・・・・DIC-CT画像において胆嚢底部に1-2cmの結石を3-4個認める。頚部に小さ

いが結石を認める。肝臓には特に他に所見はない。再構成画像の肺野を読影

する。右下肺野S10領域に直径2cmの腫瘤を認めた。辺縁がごつごつし

ており、spicula,notchが見られ、pleural indentationも認められる。

直ぐにHRCTを施行し同様の所見を得た。肺腺癌をpoint out 出来た。

所見:肺がん 分類:腺癌  知識:HRCTと肺区域分類

 

 

このように自分で撮影した画像を読影し、異常影を指摘し、時に患者さんに有益となる追加撮影をも行い、質の高い画像を提供してきました。一番には、基本となる正確な基準撮影の重要性が理解されたことと考えます。

最後になりましたが、“放射線技師冥利に尽きる仕事とは?”を一度考えて見てください。どのような答えがでてくるでしょうか。

骨一般を撮影するとき、“再撮影、撮り直しはしない”を肝に銘じて、“骨一般撮影がうまいよね”って言われる技師をめざしたいと考えます。

 

放射線技師の 3Sで自己評価してみてください。

3Sとは、smartに skill の高い画像を speedyに・・・です。

 

HOME