整形外科領域のCR画像処理パラメーターを考える
医療法人弘仁会共立病院 美曹裕和
当病院にCR装置が導入され使用した結果、整形外科領域(骨、特に四肢の抹消部位)の画像処理がうまくいきませんでした。そこで今回は、Autoモードでの画像処理パラメーターの変更について考えてみました。
CR装置は富士フィルムメディカルのXG−1です。
主な仕様としては読取可能なIPカセッテサイズは半切、大角、四つ切、六つ切りの四種類となっており、読み取り仕様は表のようになっていてほとんどで高密度が用いられています。
読取サイズ |
半切 |
大角 |
四切 |
六切 |
|
標準密度 |
操作密度(pixels/mm) |
5 |
5 |
6.7 |
10 |
画素数 |
1760×2140 |
1760×1760 |
1670×2010 |
2000×2510 |
|
高密度 |
操作密度(pixels/mm) |
10 |
10 |
10 |
10 |
画素数 |
3520×3280 |
3520×3520 |
2505×3015 |
2000×2510 |
FCRの画像処理の流れ
まず撮影したIPはEDR(自動感度補正機能)でS値とL値が決められ、その後、画像処理が行われます。
今回はマルチ周波数処理の画像処理パラメーターについて考えてみました。
EDR(自動濃度補正機構)とは撮影条件の違いに対して適切な濃度,コントラストになるように自動的に画像を調節する機能のことでL値,S値がここで決定されます。AUTO,SEMI,FIXなどの読み取り機能があり、今回は常に安定した濃度、コントラストを得ることができるようにAutoモードでの画像処理パラメーター変更について検討してみました。
画像処理パラメーターは、階調処理パラメーター4つ、マルチ周波数処理の周波数強調をコントロールするパラメーターが3つ、ダイナミックレンジ圧縮をコントロールするパラメーター3つの計10個のパラメーターがあり変更可能となっています。
階調処理パラメーター;GP
自動濃度補正機構で定められた入力データーを最終的に適切な濃度、コントラストになるような画像に変換する処理
GA ;階調曲線の傾き・・・・・・・・・・コントラスト
GT ;階調曲線の階調曲線の形・・・・・・階調曲線の形
GC ;階調曲線の傾きの中心点・・・・・・階調曲線の中心濃度
GS ;階調曲線の平行移動・・・・・・・・濃度
マルチ周波数処理;MFP
これは大きく分けて、点・線状陰影を強調する周波数処理と画像のダイナミックレンジを圧縮するダイナミックレンジ圧縮機能の二つ機能からなります。
周波数強調をコントロールするパラメーター
MRB;周波数処理における強調周波数帯
MRT;画像濃度に応じた強調曲線の形
MRE;周波数処理強調度
ダイナミックレンジ圧縮をコントロールするパラメーター
MDB;DR圧縮の周波数タイプ
MDT;DR圧縮フィルタタイプ
MDE;DR圧縮フィルタ処理の強調度
低露光域のダイナミックレンジ圧縮の効果の例です。
踵骨の軸位の写真です。パラメーター変更前の写真は距踵関節がはっきり見えません。真ん中の写真がダイナミックレンジ圧縮パラメーターMDT、MDEを変更したものです。距踵関節は見えてきましたが全体てきに濃度、コントラストが低下しています。GA、GSパラメーターを変更することで広い範囲がよく観察できる写真になったと思います。
パラメーター変更のまとめです
コントラストの調整したいときはGAを0.8〜1.5の範囲で調節します。
濃度の調整はGSを0.0〜0.5ぐらいの範囲で変化させます。
鮮鋭度の調整(エッジを強調したいとき)はMRTで強調する領域を決定しその領域の強調度合いをMREで決定します。 MRTは整形領域ではTでいいと思います。また線量が非常に少ないときでざらついた画像のときなどではMRT=Wを使うとざらつきを抑えることができます。
低露光域の白つぶれはMDTで低濃度部分を圧縮するB,CをえらびMDEで圧縮の程度を調節する。同様に高露光域の黒つぶれを見えるようにするにはMDTで高濃度部位を圧縮するE、Fを選びMDEで調節をします。
あとのパラメーターはあまり変更しなくてもよいとおもいます。
また変更したパラメーターはすべての人に当てはまりませんでした。その原因としてはIP読み取り時の部位によるS値、L値の違い、骨粗鬆症などによるX透過度の違いなどが考えられます。