心電図同期SPECTの基礎的検討

愛媛病院 本田弘文   稲田貞雄 蘇武忠勝

目的

今回、東芝製E.CAMが導入されたので、心筋動態ファントムを用いて、核種(99mTc,201Tl)の違いと、コリメータ(LEHR,LMEGP)の違いによるEFの値について比較検討し、 拡大率(ピクセルサイズ)、検出器配置の違いによってEFEDVESVが真値に近づくか検討した。

使用機器

E.CAM(東芝社)

収集装置  e.soft        解析装置  GMS 5500

コリメータ LEHR    LMEGP

ファントム 心筋動態ファントム(京都科学社)

    左室拡張末期容積(EDV):143ml

    左室収縮末期容積(ESV):107ml      EF=25%

使用核種   99mTc   201Tl

収集条件

心筋動態ファントム    心筋部   92.5kBq/ml

               バックグランド  5kBq/ml

 収集マトリクス64×64 

 収集時間50sec/view  収集範囲208°(32view)

  76°近接収集  60心拍

 R-R分割    99mTc  16分割  201Tl    8分割

 

 収集時間50sec/view  収集範囲180°(32view)

  90°近接収集

 収集時間25sec/view  収集範囲360°(64view)

  180°対向近接収集

実験方法

心筋動態ファントムを用いて

T.76°近接収集で

  〇LEHRコリメータで核種(99mTc201Tl)を収集 

  〇 99mTc LEHR、LMEGPコリメータで収集

  〇 99mTc LEHR、LMEGPコリメータで拡大率

   1.45、 1.78、 2.00、 2.29倍で収集

U.検出器の配置を対向180°、76°、 90°の近接収集で

99mTc LEHRコリメータ

T. U. QGSで解析し U.について非同期SPECTの 血流像について検討した

心電図同期心筋SPECTのアプリケーションソフト

QGS(Quantitative Gated SPECT)     

Cedars-Sinai Medical CenterGermanoらにより開発された

心電図同期心筋SPECT解析

4D-MSPECT

University of Michiganで開発された心筋SPECT統合解析

QGSと4D-MSPECTCutoff周波数の影響             LVG=78%

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


核種(99mTc・201Tl)の違い LEHR      心筋動態ファントム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


コリメータ(LEHR・LMEGP)の違い  99mTc       心筋動態ファントム

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


LEHRコリメータの拡大率によるEF、EDV・ESVについて

心筋動態ファントム     99mTc                Order 8  

EF(%)=(EDV-ESV)/EDV×100   0.45cycles/cm

 

 

 

 

LMEGPコリメータの拡大率によるEF、EDV・ESVについて

心筋動態ファントム     99mTc                Order 8 

   EF(%)=(EDV-ESV)/EDV×100   0.45cycles/cm

検出器配置でのEDV ESVについて

結 果 1.

核種       99mTc>201Tl 

コリメータ    LEHR>LMEGP

拡大率     大きい>小さい

  (EDV ESVが真値に近づく) 

検出器配置 対向180° 76°> 90°

 (近接するほどEDV ESVが真値に近づく) 

検出器配置の違いによる近接収集時の血流画像の欠損像

 

結 果 2.

11時方向の欠損が

   直角90° 鋭角76° 対向 180°

 大きい

 均一性は対向 180°が一番良い

(収集範囲180 ° 208° 360 °)

 

まとめ

心筋動態ファントムを用いて核種、コリメータ、 拡大率、検出器配置の違いによるEFの値について検討を行った。QGSで求めたEF、EDV、ESVはファントムと比較すると過小評価された。

核医学装置は空間分解能が良くないため部分容積効果により過小評価される、特にsmall heatの時、 EFの値が過大評価されるため、注意が必要である。改善方法としてトランケーションエラーに注意して 拡大収集を行うことが有用である。また、非同期血流画像のアーチファクトにも考慮が必要である。

 

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