招待講演 放射線技師の読影レポート作成技術」

大垣市民病院 市川 秀男

 

概要

当院で、放射線技師が読影レポート(以下RTレポートと略す。)を各診療科に提出するようになった歴史的経過と現状について話した。RTレポートの意義、RTレポート作成技術、さらに国内、海外への紹介についても述べた。

 

RTレポートの歴史的経過

約30年程前に、胸部、腹部、骨等の一般X線写真を撮った後、どのように利用されているのか不思議に思い各診療科の先生に時間があるとしつこく聞きに行った。先生方は、とても親切、丁寧に教育指導して頂き生涯忘れることはできない事となった。

それから、医学、医療に強く興味を持ち、図書館等で各科の医学の本、専門雑誌を読んだり、手術室や解剖室で人体内部、病理標本を見せてもらったりした。そのうちに診療科の早朝ミーテイングや抄読会さらに、医学会、研修会や懇談会にも参加させてもらつたり、発表もするようになった。先生方と公私共にお付き合い出来るようになった。或る時、先生が私の書いた読影ノートを見られ是非、写真にコメントを付けて送ってくれと言われ送るようになった。現在では、消化管、RI,CT,US,MRI,ngio等専門のRTレポート報告用紙を作り記載後、各診療科に送っている。先生方の読影の参考資料になれば良いと考えている。

 

RTレポートの意義

これは、放射線技師自身の意識の問題で仕事に責任をどれだけ持つか持たないかの問題です。医療スタッフの一員であるということを意識改革すれば誰でも明日からスタート出来ることです。

1)        RTレポートは医師、看護師さん等の医療スタッフや技師間のコミュニュケーションに役立つ。

2)        日常業務の反省材料となり、自分達が撮った写真が実際医療現場で役立っているチエックでき、技術的に問題ないか十分検討できる。

3)        より一層の医療への協力、貢献により、医療スタッフの一員として信頼と活力を得ることが出来る。(患者さんの診断支援に役立つ。)

 

RTレポート作成技術

1)        医師の信頼を得る為に、専門的医学、医療の知識を学ぶ。(解剖学、生理学、病態学、診断学等を勉強する。)

2)        医師と同じ目線でものを考える。(医師とコミュニュケーションが取れるように努力する。)

3)        医師からの検査依頼目的を十分理解出来るように勉強し、検査目的に応じて使い分け出来るようにする。(装置を使いこなす。治療方針に役立つ検査を行う。)

4)        画像は物的証拠で、毎日、こつこつと自分の撮った画像の記録を残す。

(経験を重ねる。反省。)

 

国内に紹介

平成7年11月X線発見100年全国放射線技師総合学術大会のイブニングデイスカッション講演「各種検査の画像評価で医療に役立つ良いX線像を得るにはどうしたら良いか」のテーマで

@各検査の手順を理解する。(各検査の特徴を理解する。)

A各臓器の正常画像と疾患別所見や特徴像(病態像)を理解する。(医学知識を蓄える。)

B各検査の意義、検査の目的を理解し、目的に応じて使い分ける。

CRTレポートの紹介。(当院のRTレポートを紹介。反省とチーム医療に役立つ。)

北海道(帯広)、名古屋、愛媛県、福島県、沖縄(宮古島)等や学会、研究会で放射線技師が責任を取る方法であると提言を行ってきた。

 

海外への紹介

世界放射線技師会(ISRRT)

大韓放射線技師会の招待講演で当院のRTレポーテイングの提言を行った。

ニュジーランドの放射線技師会雑誌(Shadow)で当院のRTレポーデイングをICHIKAWASENSEIとして紹介し、最後に、RTレポーデイングは将来の放射線技師のとるべき道であると述べている。

 

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