CT透視下3次元穿刺システム(スマートガイドシステム)の開発と臨床評価

徳島健生病院 放射線科 岩野晃明 

 

【開発の目的】我々は島津製作所と共同でCT透視下3次元穿刺システムの開発を行った後、改

良を行い2000年3月に薬事を取得した。CT下において穿刺が行えるシステムは最近いろいろ出

てきているが、穿刺角度、息止めなどの制約があり、CT透視下においてあらゆる方向から穿刺が

行えるシステムは、世界的にもこのシステムだけで現在世界特許出願中である。このシステムを肝

臓のPEIT、ラジオ波による治療(RFA)、に使用してその安全性、有用性について報告する。

 

【使用機器】 CT:島津Sfida    穿刺器具:島津製バイオプシフォルダ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【スマートガイドとは】

図のように体軸方向に距離を持つ穿刺において,ターゲット(腫瘍)と穿刺開始場所

を点線(ガイドライン)で結び,その時のテーブル位置の情報は点線上を移動する短い

線分(スライスマーカー)で表す。この機能をスマートガイドと呼び、穿刺器具と組み

合わせたものをスマートガイドシステムと呼ぶ。また、画面上には, 穿刺距離、穿刺

角度、穿刺位置、ターゲット位置が表示される。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


テキスト ボックス: スライスマーカー:Z軸方向の穿刺角度、スライス幅により両端の短いマーカーの位置が変化する。           

 

 

 


テキスト ボックス:     ガイドライン:XY方向の情報を表し、このラインに沿って穿刺を行う       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【穿刺方法】肝臓におけるRFAでの穿刺方法

1)            CT透視中呼吸停止(一番息止めが安定する軽くすい、軽くはいて止める

を行い、治療を行う腫瘍(あらかじめリピオドール貯留)をマークする。

 

 

 

 

 

 

 


2)            テーブルを動かし、針が肋骨の間を通るように、肋骨と肋骨の間をマークすると

スマートガイドが表示される。

 

 

 

 

 

 

 


3)            透視を出しながら表示されたスライスマーカーを皮膚表面まで移動するこの 

    位置が穿刺開始位置となる

 

 

 

 

 

 

 

 


4)            その位置で、ガントリーの位置合わせランプを点灯し、CT透視画面を見ながらボ

ールペンなどで皮膚表面にマーキングする。この位置が穿刺開始位置である。

 

5)消毒を行う。

 

6)穿刺器具をCT画面に表示されている角度に合わせ、針を穿刺開始位置にあわせる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7)腫瘍位置で、息止めを行い透視下において、計画時と同じように息止めが行えて

いるのを確認後、すばやく穿刺開始位置まで、移動し、テーブル移動と共に移動するスラ

イスマーカーを目標に腫瘍まで穿刺行う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


【結果】

針が途中で曲がったり、もう少し、頭側、足側、右、左へ穿刺を行いたい場合、最初

は、角度計の微調整を行い、最初から穿刺を行っていたが、新しい方法として、途中ま

で針を抜いて、フリーハンドにより行きたい方向へ少し力を加えてやることにより、位

置の微調整が行えるようになった。

このシステムの採用により超音波断層装置で確認できないターゲットに対して気胸など

合併症がおきない安全な穿刺ルートを選ぶことができた。また、針の曲がりについても

リアルタイムに確認することができ安全であった。

【まとめ】

このシステムの開発によりCT透視下でのあらゆる穿刺が可能となった。

 

追伸 現在マルチスライスにおいてこのシステムが使用可能なメー

カーがないため、現在各社と協議中です。

今後、マルチスライスにおいてもこのシステムが使用されると穿刺

が簡単になるので、早期の搭載を望みます。

 

 

 

CTアンギオシステムの開発(MC-ACT)の開発と臨床    

                  徳島健生病院 岩野 晃明   

 

目的】現在、CTアンギオシステムの重要性が認識されてきているが、高額なシステムの

為、一般病院までは、普及していない。そこで、今回我々と島津製作所はCTモバイル

DSAを組み合わせたハイコストパフォーマンスIVR−CTアンギオシステムを共同開

発したのでその有用性について報告する。

 

使用機器】CT : 島津Sfida(CT透視機能搭載)  モバイルDSA : 改

良型OPESCOPE

 

 

 

 

 

 

改良点】

1)CT寝台をX線透過物質に変更 

2)CCDカメラを高感度CCDカメラに変更 

3)撮影時間を10Sから20Sに延長

4)DSA用ハンドスイッチの採用 

5)CTとモバイルDSA同時X線爆射の防止

6)操作パネルのバージョンUP  

7)KV,MAカーブの変更(20cmで80Kv,1.7mas)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

方法】1)CTAP撮影 2)CTA撮影 3)DSA撮影 4)治療

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


結果】検査開始より治療に至るまでの流れをスムーズに行なうことが出来た。また、支配

領域、治療効果がその都度CTで確認可能であり非常に有用であった。このシステムの特

徴として

@従来の本格的システム価格の1/2〜1/で導入可能である。

ADSAの画質が固定陽極にもかかわらず優れている。

BDSA時の線量が非常に低線量である。

C透視時において110kV,3mA出力時に30分連続透視可能である。また、27c

m以下では2時間以上連続透視可能である。

Dガントリー,ベッドが基本位置、基本性能の状態である為、システム的に安定している。

ES−VHSビデオを使用した読影が有用である。

F完全オートバランス、ケーブル内蔵化の為、操作性が非常に良い。

G通常時は別室保存の為CT室が広く使える。

H設置面積が少なくて良い。

IモバイルDSAがOPなど一台何役もこなし経済的である。

J技師の被曝は最初の位置合わせと,DSA撮影前の位置合わせ時のみである。などが挙

げられる。

 

 

まとめ 大病院にしか導入出来なかったCTアンギオシステムが我々クラスの中規模病院

への導入に成功した意義は大きい。問題点としてモバイルDSA装置のIIサイズが9イ

ンチであるということが、挙げられるかもしれないが,DSA施行前に,CT−AP,C

T−Aにて腫瘍の位置をすべて確認している為、その位置を逃すことはない。

 

補足)このシステムのモバイルDSA装置の開発より10年が経過し

現在、腹部アンギオ、心カテが行えるモバイルDSA装置が、回転

陽極、固定陽極の各社装置で行えるようなった。

また、CT装置もCアームが入り透視が行えるように各社変更が行わ

れた。

今後、この検査を行うにあたり、選択肢が増えたことは喜ばしいこ

とである。

この簡単に行えるシステムにより、全国で、CTアンギオが普及することを願う。