最新の超音波診断について
美須賀病院 谷川達也
今や超音波検査は日常臨床の現場で最も利用しやすく効率の良い検査法である。
超音波検査の長所
@ 装置が小型
最近ではノートパソコン位の装置も出てきた
家庭用電源(100V)が使用できるのでベッドサイトや往診先で簡単に検査できる
A X線被爆がない
婦人科領域で活躍
胎児を3Dで描出できる
B 検査料金が安い
CTやMRIと比べて保険点数が安い。
超音波装置の欠点
@ 検査する術者に慣れが必要
A 消化管など空気の多い臓器や近くの臓器ではうまく描出されない
B 太った人は不向き
肝臓の超音波
脂肪肝
脂肪肝は肝細胞内に中性脂肪が生理的範囲を超えて蓄積した病変で超音波検査のみで頻度の高い診断が得られる疾患である。
超音波の特徴
@ Bright Liver Pattern
A 肝腎コントラスト
B 深部エコーの減衰
C 脈間の不明瞭化
※
CTでは黒く撮影されるが超音波では白く撮影される。
肝硬変
超音波の特徴
@ 肝表面の凹凸不正
A 肝縁の全体〜先端鈍化
B 肝実質の斑状高エコー
C 肝静脈の狭小・径不動
D 脾腫
E 門脈側副血行路
肝血管腫
比較的超音波で確認できる良性腫瘍である
小さな血管腫
@ 背景の肝実質エコーに比べ高エコーレベルを示す
A 内部エコーは均一
B 周囲との境界は比較的明瞭
大きな血管腫
@ 辺縁部に高エコー帯がある
A 中心部は周辺間実質より低エコーレベルを呈す
B 腫瘍内部エコーは不均一
C 全体としていびつ
D 中心部に血流に由来する揺らつきがみられることがある
カラードプラーやパワードプラーで確認する方法があるが実際表現するのは困難
肝細胞癌
@ 腫瘍径が1,5cm以下の肝細胞癌では比較的均一な低エコーまたは高エコーを呈する。
A 辺縁低エコー帯は認められない事が多い。
B カラードプラーで拍動流と腫瘍内を走行する腫瘍血管が認められる。
小さな肝細胞癌はCTやMRIより簡単に見つけることができるが血管腫などの良性腫瘍との鑑別が困難な場合が多い。確定診断には造影CTやMRIが有用である。
転移性肝癌
@ 腫瘍の内部エコーは高エコー、低エコー、混合エコーと様々であるが多発性で比較的大きさが揃っていることが多い。
A 幅広い辺縁低エコー帯をもち中心部が円形の高エコーを示す(target sign)
(参考文献)
実践エコー診断(日本医師会雑誌)
腹部エコーのABC(日本医師会雑誌)