縦隔構造物を憶えよう 「CT画像における胸部解剖U」

立花外科病院 矢野雅昭

 

 縦隔の画像診断においては、CT検査法は単純X線像とともに重要な検査といえ、病巣の存在部位あるいは発生臓器を知ることが重要である。それを正しく認識するためには、縦隔の正常CT解剖を理解することが大切である。

過去には、縦隔は、胸部X線写真において中央陰影として認められるが、その内部諸構造については、分離が難しく、病変の有無も中央陰影の突出や石灰化の存在として捉えることしかできなかった。

CTが出現後、CT画像においては、濃度分解能が極めて優れていることから、単純CTにおいてさえ、縦隔内に存在する脂肪により、かなりの程度まで分離同定することが可能である。さらには、造影CTにより心腔内や大血管の情報も高いレベルでもたらされ、個々の内部の異常の有無も正確に知ることができることとなり、存在診断のみならず質的診断上においても重要な検査となっている。

縦隔病変を少し列挙してみると

・炎症:炎症が縦隔に初発したものと、縦隔外病変が縦隔へ波及したものに大別する。

   縦隔の外傷や開胸術後合併症、突発性食道破裂や食道癌の裂孔などがある。

・外傷:大血管の損傷、潜在性気胸や肺損傷、肺内血腫など。

・血管病変:胸部大動脈瘤やこれからの出血、腫瘍による縦隔大血管への浸潤や圧排、狭窄と血栓症。

・腫瘍:胸腺腫、奇形腫、神経原生腫瘍、胸腔内甲状腺腫、悪性リンパ腫、気管枝のう腫など。

・リンパ節病変:縦隔リンパ節転移、腫大など。

・正常変異:右胸心、右側大動脈など。     があげられる。

 

縦隔のCT画像を示す。

 

 

症例を提示する。

症例1:扁平上皮癌 

 

症例2:外傷性縦隔気腫気胸 

  症例3:悪性リンパ腫

 

症例4:右側大動脈

  症例5:解離性大動脈瘤

 

血流路を右心系静脈血、左心系動脈血と大血管とその分枝動脈をCT画像から同定しよう。

縦隔内に存在する器官臓器(食道、気管・左右主気管支、リンパ節)を同定しよう。

難しくないよ!

簡単!

 

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